愛知県北東部、静岡県と長野県に接する”愛知最奥”の地に、かつて”日本一小さな村”と言われた富山(とみやま)村がありました。

古くは”国境の隠れ里”として、その外界から隔絶された地形的要素から、戦いに敗れた落武者が隠れ住む場所であったと伝えられています。

僅かな耕地を利用した自給自足の暮らしから、江戸期には村内を流れる天竜川の舟運により木材などが運び出され、林業が村の主要産業となりました。

産業の発展とともに人口も増加、養蚕業の好況などもあり最盛期の1920年には約1500人となりましたが、近代化から取り残される状況が続き、以後減少の一途を辿ることとなりました。1936年には三信鉄道(現JR飯田線)が開通、天竜川対岸の静岡県側に大嵐駅が開業しましたが、村から駅に至る道路が整備されていなかったため、産業を育成するものとはなりませんでした。

転機となったのは佐久間ダムの建設で、水没するため全戸数の3分の1が転出を余儀なくされ、村の人口も500人程まで減少してしまいました。

1956年に大嵐駅に通じる鷹巣橋が開通、村内を始めて自動車が走行し、ようやく近代的な交通の恩恵を受けることが可能となりました。1970年に県道飯田富山佐久間線(佐久間湖岸道路)、1974年に津具大嵐停車場線が開通し、本格的な自動車交通時代が到来しましたが、人口減少に歯止めはかからず、1970年代に200人台となり全国最少人口の自治体(離島を除く)となってしまいました。2005年に隣の豊根村と合併、2021年2月時点における旧村域の人口は僅か70人となり、いわゆる”限界集落”となっています。

今回は、大嵐駅から旧富山村を通り豊根村坂宇場までの区間を収録しました。旧富山村に通じるメインルートの道路ですが、急勾配と急カーブが続く難路となっています。なお、坂宇場から起点の設楽町津具までの区間は残念ながら災害により通行止となっていました。

★ハイライト
00:34 鷹巣橋(L=183.0m、1956年築の吊橋)
03:15 旧富山村中心部
22:57 霧石トンネル(L=132.0m)
43:46 宝地峠(標高968m)

★主な走行路線
・愛知県道426号/静岡県道287号 津具大嵐停車場線
愛知県北設楽郡設楽町津具から静岡県浜松市天竜区大嵐駅に至る一般県道です。旧津具村から愛知県北東端に位置する豊根村を横断していきます。極端な狭隘箇所はありませんが、概ね1.5車線程度の未改良道路が主体となっています。なお、静岡県区間は天竜川を渡る鷹巣橋から大嵐駅までの僅か150m程度(浜松市路線認定図における総延長は鷹巣橋を除いた65m)しかありません。

※一部風切り音が大きくなっているため、音量控えめでの視聴をおすすめします。
※撮影に当たっては、交通法規を遵守し安全運転を心がけております。
(広角レンズの特性により、実際よりスピード感のある映像となっています。)

Date : 2021-06-20
Camera : GoPro HERO 8 Black
3840 × 2160(4K) 60fps

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