浅間山北麓の広大な高原地帯に位置する群馬県吾妻郡嬬恋村。村を縦断する2本の県道を走ってみました。

最初の路線、大笹北軽井沢線は、嬬恋村大笹から長野原町北軽井沢に至る一般県道です。1975年に県道大笹応桑線として認定された路線で、その後現在の路線名に改称されています。

本路線が通る一帯は、1873年(天明3年)に発生した「浅間焼け」と称される浅間山の大噴火により大きな被害を受けた地として知られています。4月9日(新暦5月9日)から7月8日(同8月5日)にかけて上州・信州はもとより関東一円に大災害をもたらしたこの噴火により、特に鎌原村(現在の嬬恋村大字鎌原、3:25~12:00あたり)では泥流の直撃を受けて人口の8割が犠牲になったと伝えられています。今では観光地となっている「鬼押出し」はこの噴火により流れ出た溶岩で、本路線付近まで火砕流が到達したものと思われます。
 
国道144号を挟んで次の路線、大前須坂線は、嬬恋村大前から長野県須坂市に至る一般県道です。標高1823mの毛無峠を越えていきますが、群馬側は一部未通となっています。

本路線は、大笹北軽井沢線とともに高崎市と須坂市を結ぶ「奥地産業開発道路 高崎須坂線」を構成する路線として、1971年に複数の県道を再編して路線認定されました。現在この根拠法である「奥地等産業開発道路整備臨時措置法」は失効しており、また自然破壊にもつながるため、今後本路線の未通区間が建設される可能性は無いと思われます。

本路線が通過する干俣地区は、古くは「万座山越道」という山越抜道が通じ、万座峠や毛無峠を超えて信州との交流が盛んな地でした。また、火山地帯であるため硫黄が産出され、沿線には小串鉱山(1971年閉山)がありました。なお、地理院地図等では峠から鉱山跡に至るつづら折りの道が本路線の区域と表記されていますが、道路を管理する群馬県中之条土木事務所の管内図では、鉱山の西側の山腹を大きく迂回するルートが「計画道路」として表記されています。

今回は、大笹北軽井沢線終点から大前須坂線の通行止地点まで収録しました。

※一部風切り音が大きくなっているため、音量控えめでの視聴をおすすめします。
※撮影に当たっては、交通法規を遵守し安全運転を心がけております。
(広角レンズの特性により、実際よりスピード感のある映像となっています。)

Date : 2021-04-24
Camera : GoPro HERO 8 Black
3840 × 2160(4K) 60fps

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